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京都地方裁判所 昭和55年(わ)95号 判決

本店の所在地

京都市右京区太秦安井藤ノ木町一六番地

法人の名称

清水商事株式会社

代表者

清水幸一

本籍

京都市右京区花園春日町九

住居

京都市右京区太秦安井馬塚町六の二

会社役員

清水幸一

昭和六年三月一二日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官太田健一出席のうえ審理を遂げて次のとおり判決する。

主文

被告会社清水商事株式会社を罰金一、三〇〇万円に、被告人清水幸一を懲役一〇月に各処する。

被告人清水幸一に対しこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人清水商事株式会社は、京都市右京区太秦安井藤ノ木町一六番地に本店を置き、食料品販売業を営むもの、被告人清水幸一は右会社の代表取締役としてその業務全般を統轄していたものであるが、被告人清水幸一は、右会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一、昭和五一年二月一日から昭和五二年一月三一日までの事業年度における右会社の所得金額は一億八、三〇五万五、五六五円で、これに対する法人税額は七、一一四万九、八〇〇円であつたにもかかわらず、公表経理上売上げの一部を除外し、これによつて得た資金を架空名義の定期預金及び株式にするなどして所得を秘匿した上、昭和五二年三月二六日、京都市右京区西院上花田町一〇番地所在の所轄右京税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の右会社の所得金額は一億二四八万八、六八六円で、これに対する法人税額は三、八九二万三、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、右事業年度の正規の法人税額と右申告にかかる法人税額との差額三、二二二万六、八〇〇円を免れ、

第二、昭和五二年二月一日から昭和五三年一月三一日までの事業年度における右会社の所得金額は一億九、八三九万二、一九六円でこれに対する法人税額は七、七二九万二〇〇円であつたにもかかわらず、前同様の方法で所得を秘匿した上、昭和五三年三月二五日、前記右京税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の右会社の所得金額は一億五、七六五万、五四五円で、これに対する法人税額は六、〇九九万六、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、右事業年度の正規の法人税額と右申告にかかる法人税額との差額一、六二九万四、〇〇〇円を免れ、

第三、昭和五三年二月一日から昭和五四年一月三一日までの事業年度における右会社の所得金額は九、六五七万二、九〇六円で、これに対する法人税額は三、四八一万三、八〇〇円であつたにもかかわらず、前同様の方法で所得を秘匿した上、昭和五四年三月二八日、前記右京税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の右会社の所得金額は二、八五三万四、九二八円で、これに対する法人税額は七五九万九、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、右事業年度の正規の法人税額と右申告にかかる法人税額との差額二、七二一万四、四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、被告人清水幸一の検察官及び大蔵事務官(一一通)に対する各供述調書

一、被告人清水幸一作成の確認書、全期分期末残高確認書

一、清水春枝、小田垣きく枝、庄田よし江の検察官に対する各供述調書

一、岡本キヨ子、藤田光浩、清水春枝、小田垣きく枝(四通) 庄田よし江(二通)、畑山正雄、田鶴岩男、藤原巧、中野恒美(二通)、森居修次、村上伍一、紀平邦泰、紀平浅次郎(三通)、清水イヨの大蔵事務官に対する各供述調書

一、高階正義、杉本一之、藤原巧、関正夫、片平恵三、井村利夫、津田尚、村上伍一(二通)、細見隆(二通)作成の各供述書

一、紀平浅次郎作成の確認書

一、大蔵事務官作成の現金預金有価証券等現在高確認書(五通)、現金預金有価証券等現在高検査てん末書(四通)、査察官調査書類(五通)、査察官調査書(六通)、臨検捜索てん末書(三通)、差押てん末書(三通)、領置てん末書(五通)

一、国税査察官作成の写真撮影報告書(二通)

一、登記官作成の登記簿謄本

一、押収してあるうづまさの書類一綴(昭和五五年押第一一五号の1)、印鑑二七九個(同押号の2、5ないし7、10ないし17、19、20)、メモ綴(同押号の3)、預金メモ四枚(同押号の4、22)、預金メモ一綴(同押号の8)、雑メモ一枚(同押号の9)、預金関係メモ一綴(同押号の18)、支店長保管メモ一綴(同押号の21)、仮名預金名寄表二枚(同押号の23)、名寄カード三枚(同押号の24)

判示第一の事実につき

一、大蔵事務官作成の法人税確定申告書(謄本、検四号)、脱税額計算書(検一〇三号)

判示第二の事実につき

一、大蔵事務官作成の法人税確定申告書(謄本、検五号)、脱税額計算書(検一〇四号)

判示第三の事実につき

一、大蔵事務官作成の法人税確定申告書(謄本、六号)、脱税額計算書(検一〇五号)

(法令の適用)

一、(判示各所為) 被告会社につき法人税法一四六条一項、一五九条、被告人清水幸一につき同法一五九条

一、(刑種の選択) 被告人清水幸一につき所定刑中懲役刑を選択

一、(併合加重) 被告人清水幸一につき、刑法四五条前段、四七条、一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に加重)

被告会社につき同法四八条一項および二項(判示第一ないし第三の各罪所定の罰金額を合算)

一、(刑の執行猶予) 同法二五条一項

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 山田賢)

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